ジブリパーク『稲楼門(とうろうもん)』中村遊郭高級料亭の楼門を移築、異世界への扉

ジブリパークの「ジブリの大倉庫」の坂を上がったところに、「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせる楼門に思わず目を奪われると思います。

こちらの門は名古屋市の中村遊郭に昭和初期に建てられた稲本楼の門を移築したものなんですよ。

中村遊郭・稲本楼の楼門を移築

ジブリパーク(モリコロパーク)公園内(無料エリア)、ジブリ大倉庫バス停すぐにある印象的な門が「稲楼門((とうろうもん)」です。

こちらの門は中村区大門・中村遊郭に昭和初期に建てられた旧稲本楼が取り壊しになる際に保存、ジブリパークの開園にともない移築(復原)されたものです。

まさに「千と千尋の神隠し」の冒頭シーンを彷彿とさせる楼門は、パーク内の無料エリアにあるので予約チケットなしで開園中はいつでも見学できます。

稲本楼とは?

稲本楼は名古屋市内有数の遊興地として賑わった「中村遊郭(戦後は名楽園と改称)」に1923年(大正12年)に建築されました。

中村遊郭は1923年に名古屋・大須にあった「旭遊郭」が手狭になり中村区大門へ移転し「稲本楼」として開業、中村遊郭の中で一番の格式さを誇っていたそう。

こちらの門は昭和初期に増築された稲本楼別館として増築された建物の楼門で、1957年に売春禁止法にともない旅館へと転換した際に別館は「料亭稲本」として開業しました。

2009年に「料亭稲本」は閉業、その後は高齢者向けのデイサービス施設として活用され2018年に解体された際に楼門をジブリが譲り受け解体保管されていたそうです。

稲楼門チェックポイント

稲楼門の特徴が記載された記事が愛知県広報に掲載されていたました。

  • 4本の手斧仕上げの柱を有する単層平入の門
  • 屋根は反りのある入母屋屋根で、織部瓦(織部焼きの瓦)で葺かれている
  • 軒先は銅板葺き、棟には鴟尾のある異国風の門
  • 左右にはべんがら塗りの袖塀を配置

手斧(ちょうな):木の表面を削るための道具
平入(ひらいり):切妻屋根において、軒先側にあたる平側に入り口を設置するもの
入母屋(いりもや)屋根:上部が切妻になっていて、その四方に庇屋根を付けた屋根形状のこと
鴟尾(しび):瓦葺屋根の大棟の両端につけられる飾りの一種
べんがら:黄土を焼いて作る赤色の顔料
袖塀(そでべい):門の両側にある低い塀

愛知県広報から抜粋しました:https://www.pref.aichi.jp/press-release/toromon.html

手斧仕上げの柱

それぞれの4本の柱と梁に斜めに入っている模様が職人が丁寧に仕上げた”手斧仕上げ”だと思われます。

単層平入の門

「単層」とは屋根が1層であること、「平入」とは屋根の棟に対して平行になる面に門があること。

反りのある屋根

屋根は裾にかけてうねるように反りがあります(入母屋(いりもや)屋根)。

織部瓦葺きの屋根

美濃地方で生産されてきた織部焼の瓦、特徴である美しいニュアンスのあるグリーンになっています。

銅板葺きの軒先

軒先は銅板葺き(瓦の裾部分)。

鴟尾のある異国風の門

棟の両端には鴟尾(飾り)のある異国風の門。

「鴟尾」原型は伝説上の生き物「鳳凰(ほうおう)」の翼をかたどったものらしいですが、なぜ”翼”なのに”尾”なんでしょうね??

名古屋城などに飾られる”鯱鉾”にも形が似てますよね。

べんがら塗りの袖塀

左右は黄土を焼いて作る赤色の顔料を使った「べんがら塗り」の袖塀。

名古屋・覚王山「揚輝荘」の聴松閣(ちょうしょうかく)も赤い壁が印象的なべんがら塗りですね。聴松閣が建てられたのは昭和12年、時代も重なりますね。

石人は映画と同じように前後両方に顔が描かれており、階段下から撮影した写真を見ると門の手前に置かれているように見えますが、実際は門を入ったところに置かれています。

上は門の裏から撮影した写真、なんのトリックなのかと不可思議な気持ちになりました。

稲楼門広場

階段を上がり門をくぐった奥は広場になっており、屋根のある休憩所やベンチがあります。

さらに奥へと進むと自然に囲まれた「林床花園」の林道になっており、どんどこ森へと続いています。

自然豊かすぎてスズメバチやマムシが出るそうです(笑) 階段が整備されているのでマムシは大丈夫そうです。

ゆるやかな階段ですが、登りがキツければどんどこ森までバスで向い降りてくるのもおすすめです。

さいごに

2年ほど前に中村遊郭・松岡旅館見学ツアーに参加した際、ガイドの松村さんから料亭稲本の楼門がジブリパークに移築されると伺い、どんな姿で見られるのか楽しみにしていました。

その際に解体される前の料亭稲本の店内を撮影した写真もチラリと見せていただきましたが、中華と和が融合した豪奢なすばらしい意匠でした。
名古屋市さん、何らかの形で早く公開してくれないかしら。

昭和初期から平成を越え、三世代を見守ってきた楼門、次の時代にも引き継ぎたいですね。 石人に苔が生えるまで見守りたい(生きてられるかな)。

※ 記事の情報は公開日月時点のものです。
最新状況については公式サイト、お電話にてご確認くださいませ。

施設情報&MAP

<施設情報>
稲楼門
住所:愛知県長久手市茨ケ廻間乙1533-1 愛・地球博記念公園 ジブリパーク内
アクセス:愛・地球博記念公園駅から徒歩5分
公園開園時間:【4月~10月】8:00~19:00【11月~3月】8:00~18:30【休館日】8:00~17:30
※休館日
毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は翌平日) 春休み・夏休み・冬休み期間中は火曜日も利用可
電話:0561-64-1130
駐車場:有
※年末年始(12月29日~1月1日)は閉園

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